黒幕説(複数犯)

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基礎的考察

*初動捜査の不手際隠蔽の動機で事件発覚時刻を変更して発表した
 
現在、諸般の根拠から、このように考えることが妥当と思われるの
だが(参照・基礎事実の検討→事件発覚時刻)この見方には実は重大な難点がある。それは、いたって簡単な論理であって、もし警察が石川氏をではなく、真犯人を挙げる事が出来ていた場合、そうした隠蔽の策略は、まさに真犯人の供述から、瓦解することになるというものである。警察での取り調べに於いては、それでも、石川氏にそうしたように、警察の都合の良いような供述を、真犯人に強要することは出来るだろう。が、取り調べ段階での供述を作為出来たとしても、公判過程に於いて、弁護側から、時刻の矛盾をついた尋問や、既に早い時刻からの警察の動きを明かす証人の申請など、警察の姑息な小細工を瓦解させるに充分な事態が現出する可能性はある。
 
もっとも、これは現実に石川氏を被疑者、被告とした実際の場合に
於いても言えることだが、現実問題として公判廷でも警察の事件発
覚時刻隠蔽は問題となってはいない(バレていない)。勿論被害者
家族側は、先述レスの如く考えれば、むしろ警察の工作に迎合して
行くので、警察にとって問題とならない。
僅かに、亀井トムら市井の著作人、運動家らがそうした問題を提起
しただけであった。
しかし、やはり真犯人が捕縛された場合には、少なくとも公判廷に
於いては、問題となる危険性はかなりあったものと思われる。
 
事件発生について、諸般の発表が行なわれた時点で、一応通常に考
えてみた場合、石川氏を捕縛する予定はなかったはずで、要するに
まかり間違えば(と言うのも変な話だが)真犯人を捕縛する可能性
もあったわけだ。
 
この問題は小生が、所謂佐野屋の夜に於ける「劇団説」や、警察に
よる自作自演の屍体埋め直し等が困難であると思う理由である。要
するに石川氏でなく、真犯人が捕まってしまったとしたならば、こ
うしたことが発覚する危険性が大であろう、よって、警察がこのよ
うなリスクを犯すだろうか、そのリスクを上回るだけのメリットが
これらの事実隠蔽にあっただろうか、ト言うものである。
但し、石川逮捕後に発見された物証の場合には、石川起訴の為にそ
れらの物証を犯人がではなく警察が動かした可能性は大であらう。
万年筆は勿論の事。
 
それでは何故、劇団説は取りあえずおくとしても、発覚時刻変更を
これらの危険性を考慮してなお、実施出来たのであらうか。それを
安心して実施出来るようにする最良の条件としては、
 
*『絶対に真犯人は捕まらない』という事である。
 (「捕まえない」と言うべきか?)
 

ではどのような場合が、そのような条件を可能にする場合であらう
か。
 
「警察の捜査方針について可也な程度に掣肘を加えることが出来る『有力者』が事件に関与する」こと、所謂「黒幕説」である。
有力者とは、有力政治家であるとか、或いは現役政治家ではなくと
も良く、要するにそうした政治力を持った者の事である。
 
この推理によれば、この場合の動機は地元に於ける土地利権への関与から被害者一家を排除すること或いは遺恨、事件はその為の恫喝、警告などの要素が挙げられていた(他にも細かいことはあるだろうが)。当時地元では利権をめぐる被害者一家周辺のトラブルも噂されていたことでもあり、それなりの蓋然性を有する説と言える。犯行実施には仁侠組織を使嗾したとするならば、手際の良い実行と、万一まかり間違って実行犯が挙げられてしまった場合(例えば佐野屋での逃亡に失敗した場合など)に於いても、主犯の名(或いは組織上部の関与)までは口を割らない事が期待出来るというメリットがある。

 


以上は「警察の隠蔽工作」についての疑問に発して、小生がチト考
えたところを述べたモノ。無論この場合の「隠蔽工作」とは、発覚
時刻改竄から佐野屋を劇団と見るあたりに至るまでの意味で、石川
氏捕縛後の冤罪に関わる工作以前についてのモノである。

基本的疑惑

1、被害者家族の言動への疑惑
 
TVなどでも良くやっているが、犯罪被害者の遺族が求めることは
ほとんどが一様で、「加害者の謝罪の気持ちと、家族がどのような
状況で死んだのか、その真相を知りたい」というモノ。
そんな一般的な反応と比較すると、本件に於ける被害者家族の反応
(とその行く末‥‥姉と次兄は自殺、など)が異様。異常な事件発
覚状況・贋札持参・長兄の素人探偵ぶり(封筒の切れ端を発見・写
真機持参で死体検分を自ら実施・記者に推理を開陳・尋常でない手
記を発表、など)・それに引き比べての、父親の影の薄さ・法廷陳
述が異常、等々。
 
2、警察の捜査への疑惑
 
既に多数の指摘が存在する。省略。
 
この点につき引用。
>冤罪事件は数あるが、事件発生直後の捜査段階の過程で、警察
 が不審な動きをしている事件というのも、そうざらにあるもの
 ではない。
 一般的に、狭山事件は捜査に行き詰まった警察が被差別部落の
 若者に眼をつけ見込み捜査によって逮捕した人物を責めたてて
 自供に追い込んだものであると解釈している人が多いと思う。
 
 ところが、そういう単純な構造ではないことが、事件をよく調
 べると判明する。
 すなわち、事件発生直後から、警察がなんらかの形で撹乱工作
 に関わっているとしか思えない事例が数多くあることだ。
 以下にその疑惑の実例を挙げてみる。

 1、事件発覚時刻の繰り下げ
 2、秘密保持を無視した初動捜査
 3、民間人への捜査協力依頼
 4、佐野屋張込みでの不手際
 5、ゴムヒモと死体発見時の不可解さ
 6、夜間、しかも屋外での遺体解剖
 7、死体解剖鑑定結果への疑問
 8、山狩り済みの畑からスコップ発見
 9、未確認のままI養豚場のスコップと発表
10、重要容疑者OGを早々とシロと発表
11、目撃情報者TNに対する過酷な取調べ
12、二転三転したI養豚所関係者の逮捕情報
13、正式な筆跡鑑定が出る前に容疑者逮捕
 
 ざっと並べて、事件直後のものだけでこれだけある。
 これでは警察自作自演説などが出てくるのも当然ともいえる。
 この謎を解く鍵をいろいろ探してみたのだが合理的に解決する
 キーワードとして「警察内部に真犯人と通じる者がいる」とす
 ると、納得できる部分が多い。

 容疑者が逮捕された後、さらに彼を犯人に仕立て上げるために、
 捜査当局がありとあらゆ手段を講じ、証拠の偽装や偽証証人ば
 かりかニセ市長、ニセ弁護士まで動員したのは周知の事実。
 それらが単に現場の捜査官レベルでは容易ではないことを考え
 併せると、「内通者」がそれを意識して為したのかどうかは別
 にして、組織の幹部レベルであったことしか思えない。

 それと被害者家族の不審な言動を指摘して「犯行への関与あり」
 とする向きもあるが、これは、事件とは直接関係ないが被害者
 側に隠匿したいある事情があり、真犯人側もそれを重々承知し
 て、これを利用して為した犯罪であると考えていい と思う。
 狭山事件は、犯人側の意図が最初から被害者家族と捜査当局に
 対し、決して真実を述べさせない(述べることができない)と
 いう罠を仕掛けて実行された稀有な計画的犯罪だったようにも
 思えるのだが。

 
3、被害者家族、警察、真犯人
 
の関係性が、異常。それぞれ立場を異にしながらも、三位一体とな
っての真相隠蔽。そこから、家族、警察双方に対しての、犯人側の
ある意図の行使の存在も思い至られる。再審請求への、裁判所のこ
れまでの対応を考えると、これに裁判所、司法部をも、付け加える
べきか。
 
*果たして、家族、警察、真犯人の、個々バラバラな動きの、偶然
の結果としての、本件総体であるのか、或いは、やはりなんらかの
「繋がり」がそこに見い出されるのか、否か。
現時点では、後者の可能性を、考慮に入れざるを得ず。

黒幕説

以下は全て、事件発覚時刻が発表された時点より数時間早かった事
を前提とする。
 
1、事件当日以前から家族への、なんらかの形での恫喝があった。
 
2、事件発覚
  5月1日電話で娘の拉致を通告した。警察への通報。
  その指示に従い、長兄が指定場所で脅迫状と自転車を回収。長
  兄は念の為、学校にも立ち寄るが、妹はやはり居なかった(或
  いは、指摘されているように、用務員の証言は後からの警察に
  よる贋証言?)。
  *このあたり(事件発覚の事情)は現在では別の考え方をしている
   →参照=基礎事実の検討→事件発覚時刻隠蔽の理由→第2説

 
3、1日午後、被害者は顔見知りの者の手引きで犯行場所へ出向き
  そこでトマトを含む食い物を平らげ、なんらかの形で性交をし
  た。それはその顔見知りの者との合意でか、或いは、鈍器で後
  頭部を叩き、卒倒したところに性交を受けた。顔見知りはOG
  か?或いは今だ知られぬ別の者?
 
4、動機
  利権絡みの怨恨。これに、被害者の出生に関わる家庭の機密事
  項も絡んでいるか?或いは、家庭機密は、犯人側の被害者宅へ
  の圧力として利用されたのかも知れない。こうした事によって
  その後の家族の、事件への不自然な言動、反応が発症。
  実行犯は仁侠系か。
 
5、殺害
  1日夕刻。初めから殺害の予定であった。娘をターゲットにし
  た理由は、拉致に顔見知りの者を利用出来る事と、娘に関わる
  家庭機密を利用することにより、被害者家族の発言を抑止。
 
6、屍体埋没
  2日午前2時ごろから、未明にかけて実施。このあたり、2日
  朝の土地所有者の証言、犬の吠え声があったとの証言及び佐野
  屋の後では、逃走の追求と公開捜査となったことなどで、2日
  未明の可能性大と見る。
 
7、犯人
  警察の捜査状況を可也な程度把握出来、なおかつ捜査方針への
  相当程度な干渉を行える者が主犯、若しくは背後に居た。そし
  て仁侠系若しくはそれに類する組織などとの繋がりも。
 
当説の弱点は勿論可也あると思う。細かいことも色々あろうが、小
生的には主に次の諸点。
 
弱点1=相当規模に組織的な犯行だが、そうした組織的行動力且つ
ある種の政治力を所有する者ならば、娘の殺害という方法でなくと
も、他になんらかの手段が取れるものと思われる事。
 
弱点2=そうした犯人像は、実名の割れた事件登場人物を犯人とし
て想定することに比べ、やはり何か弱いモノを感じざるを得ない。

詳細

1=事件当日以前の恫喝
 
その目的は、事件後も家族をして、警察にも裁判でも、真実を明か
すことの出来ぬ心理をあらかじめ生じさせる事にあったと思う。事
件後での、父親の影の薄さ(口の重さ)と言うのは、こうした事に
あったのではなかろうか。他方、長兄の方は、事件直後には、あの
ように可也積極性を見せているが、これは思うに、父親の腑甲斐無
さへのいらだちもあって、全てを語ることの出来ぬのは重々承知の
上で、何か僅かでも、犯人に一矢報いたい心境のなせるわざであっ
たのではなかろうか?
しかし結局、この長兄といえども、公判ではついに、あのような証
言に終始したわけであった。
 
この長兄の、電話についての法廷証言がある。弁護側から、妹の帰
宅が遅いならばわざわざ学校へ車で出向くことの前に、何故電話で
妹の所在を確かめようとしなかったのか、についての質問に答えて
いるアノ有名な陳述である。この中で長兄は、自宅に電話があるこ
と自体を隠そうとしたフシが認められている。
これは妹の安否の確認についての件であったが、要するに事件当日
犯人からの電話での脅迫があった事(或いは以前にもそのような電
話があったこと)を隠したい(それによって家庭機密の漏洩を防止
したい)ことが、この電話噺の真相であったのではなかろうか。
 
2=事件発覚
 
事件発覚時刻が発表よりも少なくとも2時間は早かったであろうこ
とは、多くが既出であるので省略。警察主導で、初動捜査の不手際
を隠蔽する為に、そのように時刻をズらした創作を発表したという
事。そういう創作をしても、それがバレない為の条件は、上述(基
礎的考察)

 
がここで仮に、そのような警察の創作が無かったとして見よう(従
ってこの場合は、初動捜査が既に6時台に行なわれていた事を否定
したとして)。
その場合これは、長兄を初めとする被害者一家の創作と思われる。
そのような創作をする理由は、前記家庭機密の隠蔽にあるだろう。
つまり、以前から一家の弱みを握る者との関わりがあることの隠蔽
つまりはその弱み=家庭機密そのものの隠蔽、をし、事件を、被害
者家族にとっては突発的な、身に覚えの無い身代金目的誘拐事件ら
しく見せ掛けたかった、と。この場合、全く、犯人の意図どおりに
動いたのだと言える。
 
更に翻って考えると、この創作は犯人側の指示であったのではない
か、と言うことである。即ち最初の脅迫(脅迫状と自転車の位置を
指定したもの)に於いて、この脅迫状と自転車はこのように(発表
のように)発見したことにしろ、という指示である。被害者一家に
そのように証言させる事により、実行犯一味のアリバイ工作に利用
したとも考えられる。
 
この場合、家族は娘の生命の心配よりもむしろ、家庭の機密事項漏
洩の方を心配した。娘の生命も心配したかも知れないが、それだけ
だと、屍体発見後は、そのような犯人の指示などバラしてしまった
であろう。
 
なお、警察にしろ被害者一家にしろ、或いは犯人側からの指示にし
ろ、事件発覚時刻の創作が無く、真実が発表通りであったとする事
は、7時40分に脅迫状を発見し別途隣家に後事を依頼したりしな
がら同55分頃警察へ届け出るトいう一聯の早業が、どうも物理的
な不可能事に感ぜられる。よって現在の処小生としては、いづれに
しろ発表による事件発覚時刻は創作であるとの感が強い。
 
もし、強いて発表時刻(とその形態)が真実であるとするならば、
その場合はやはり初めの長兄疑惑に立ち戻らざるを得ない。
 
*補遺
上述の通り事件発覚時刻の創作については、
A=警察による創作
B=被害者一家による創作
C=犯人側が創作し被害者一家にそれを指示
の3方向が考えられる。小生的には現在、取り敢えずはオーソドッ
クスな線で、警察によるもの、との既出の説で行っている。しかし
他のB、Cの可能性も一応提示してみた。
 
第5項で述べるが発覚時刻は1日午後5時〜6時の間と思われる。
この時の「脅迫」はまだ被害者の拉致をほのめかす程度のものであ
ったのかも知れない。
長兄はこの間、犯人の指示に従って、その指示の地点(第2ガード
付近又は関口自転車店付近)で、自転車と脅迫状を獲得した。恐ら
くこの時点で警察に通報したものと思われる(通報が電話による脅
迫の直後であったのか、又は自転車&脅迫状の獲得後であったのか
は、これはこれで重要な論点であるが、ここではそれに深入りする
のは取り敢えず止めておこう)。
 *このあたりの経緯に就いて、最近は少し別の考え方をしている
  →参照=基礎事実の検討→事件発覚時刻隠蔽の理由

   
3=顔見知りによる誘い出し
 
顔見知りの者は実名の割れている者ではOGがいて、諸般の根拠か
ら、どうしてもOGに疑いが行くが、もとより今だ名の知られぬ別
の者である可能性もある。が、ここでは仮に、顔見知り=OGとし
て考えてみる。
 
既出だが、OGは1日午後3時半〜4時頃会社を出。5時前頃実家
に帰り家族イトコらと7時頃迄飲酒をしていた。会社を出てから実
家に入る迄及び7時以降の行動は不明。この間、4時頃には被害者
を伴って新居へ行き、そこで被害者にトマトを含む食い物を喰わせ
たと見られる。
その時に実行犯達がそこにいたのかいなかったのか。いたとすれば
誕生祝いに友人を呼んだとでも言うことだったのかも知れない。い
なかったとすれば、OG退去と入れ代わりに実行犯達が闖入したの
かも知れない。
 *OGの行動に就いて詳細論考はこちら=基礎事実の検討→OGについて
 
いづれにしろこの午後OGが新居にいる間には、まだ被害者は殺害
されてはいなかったのであると思われる。5時からの実家での宴会
の席上、別段OGに不自然なそぶりがあったとも報告されていない
ので。
ただ、7時以降の事が少々問題。雨の降る中、実家にいなかったと
すれば新居へ立ち戻ったと見るのが自然で、もしその時そこに、殺
害を完了した実行犯一味がまだ居たとすると、OGはこの時点で殺
害そのものを知っていたことになる。2日と3日の勤務中ノイロー
ゼ状態であったと言われているので、その原因が殺害にあるとも思
えるが、実行犯一味がまだ屍体も埋めてなく佐野屋での計画も終了
していないこの時点で、たんに利用しただけのOGに殺害自体を発
覚させるとも思えないものがある。
 
よって、7時過ぎにOGが新居に立ち戻った時には、実行犯一味は
屍体を別のアジトに運搬済みだったのではなかろうか。それでその
夜はOGはそこに一泊。しかし翌日には、まだ公開捜査はしていな
くとも、被害者がどうやら誘拐されたらしいことはOGにも知れた
ものと思われる。
ノイローゼは、結果的にせよ自分が被害者の拉致監禁に利用された
ことによって発症したものであろう。4日からは無断欠勤、この日
午前に屍体発見されている。
 
一方この頃には、実行犯一味は遠方に高飛びしていたものと思う。
恐らく佐野屋逃走の後には、既に現地を離れていたのであらう。
 
なお性交は、OGが被害者と肉体関係にあったのならトマトメシを
喰わせて精のついたところをイタしたのであらうし(個人的には山
芋かゴボウの方が好結果が得られると思うが)、そうでないなら実
行犯一味が殴頭の上逝きがけの駄賃として頂戴したモノであらう。
 
(勿論計画としては、「よそ者の不良が起こした恐喝未遂・強姦・
殺人・死体遺棄」というストーリーに則ったのであった)
 *なおOG新居は死後家宅捜索を受けており、その結果は開示されていな
  い。しかし家宅捜索の結果そこに血痕等の痕跡があれば、「OGシロ」
  の判断はさすがにしないであろう。周到な犯人側は恐らく、ビニールシ
  ートの様な物を犯行時、床に敷いていたものと思われる。

 
4=動機
 
利権絡み、と申したが、小生もやはり被害者宅排除により利権獲得
というよりも(或いはそれに加えて)激しい怨恨の要素の方が動機
として強かったのではないかと思っている。
 
この怨恨、例の母親が嫁したミギリに庭に墓石、と言う事件の頃か
らの、息の長いものであったのかも知れない。もしかするとこれは
一般に言われているように母親へのいやがらせというよりも、父親
或いはその先代からの、この一家へのなんらかの恨みに基づくもの
なのか、とも思う。
 
以下『  』内はこの機会に思い浮かんだ単なる空想として読んで
欲しいが、
 『その後この母親の不倫によって生じたのが被害者であったとし
  て、その相手は部落出身者であった。この事実は娘がかなり長
  じてから父兄らに発覚したが(その事実を教示したのは犯人一
  味かも知れない)その時はもはや、だからと言ってどう出来る
  ものでもなかった。しかし、強烈な差別意識を所持する伝統的
  な農村に生きる一家にとって、これほどおぞましい事実はまた
  と無いものであった。どのようなことが起ころうとも、この事
  実だけは未来永劫隠蔽すべき恥ずべき機密事項となった。』
 
こうした機密事項(それが上記のようなものでは無いにしても)が
一家にあって、且つ犯人はそれを知悉していて、そのことをほのめ
かすことによって、事件後に於ける被害者一家の言動に強力な規制
を加えていたのではあるまいか。空想部分は兎も角としても、現世
利益的な利権獲得(獲得と言うよりも、被害者一家を娘の殺害をも
含めた恫喝によって利権構造から排除し、将来にわたって利権への
アプローチを独占する事)のみでなく、陰鬱な怨恨の情が、犯行の
動機にあるのではなかろうかと思える。
 
*補遺
果たして初めから被害者に殺意を持っての犯行であったのか否か。
動機を怨恨に重きを置くものと考えた場合、やはり当初から予定の
殺害であったのではないかと考えている。殺害→屍体埋没→佐野屋
という一聯の行動を、当初から綿密に計画した流れに沿って、実施
したのではなかろうか。
 
これが利権独占と言う事だけであるならば、「警察情報獲得や捜査
方針への干渉、仁侠系を駆使する政治力を所持する犯人像」からは
何も娘の殺害というリスクを取らずとも、その持てる政治力を駆使
しての、他の有効な手段が打てたものと思われる。
 
このことを考えると、娘の拉致(或いは狂言)で殺害は当初計画に
は無かったという説を取った場合でも、それ以上の効果を有する政
治的手段が可能であったであろう。よって、被害者への殺意を持つ
に足る動機、利権確執にも絡む非常に強い怨恨、と。
 
5=殺害
殺害は1日午後5時〜7時にかけて、と思われる。
上記3での推察に照らし合わせれば、新居からのOG退去の後、夜
に再びOGが復帰する迄の時間帯。では、
 
*事件発覚(脅迫)時刻は何時か。
 
被害者を拉致し、殺害を無事に完了する前に脅迫をしてしまうこと
は計画に思わぬ支障を来す事になろうから、これは殺害を実施した
後であるだろう。一方、警察はこの日午後6時半頃、所沢署に於い
て捜査指示があったとの情報がある。6時半に所沢署でそうした動
きをする為には、遅くとも警察への通報が6時にはあったものと思
われる。他方殺害は上記の時間帯。
 
一般的には、引っ越し前の新居ではまだ電話は開通していないもの
と考えられる。犯行場所がOG新居で、殺害後すぐに脅迫をしたと
考えると、この電話は公衆電話などを利用したものであろう。

こうした諸般の事情に鑑みて、脅迫時刻は5時〜6時頃、それに伴
って殺害時刻も、OGが退去した後の5時〜6時前と考えられる。
このあたり、蓋然性を考慮して少し時間帯に幅を持たせたが、もう
少し狭めて既述すると、
 
OGが被害者を新居=4時頃(3時40分頃退社との証言有り)
OGが実家へ退去=5時前(イトコが5時過ぎに実家へ行くとソコ
にOGがいた)
殺害=5時〜5時半頃
脅迫=5時半頃
警察へ通報=6時前
といったところであろうか。
 
では何故拉致殺害されたのが被害者であったのか。
動機面での検討からは、怨恨・脅迫の対象は被害者宅当主(父親)
で拉致は末弟などでも良いわけである。しかし既述の如く、娘と顔
見知り若しくは肉体関係にあったOGを拉致に利用出来る事、娘に
関わる家庭機密を被害者一家の言動への抑止に利用出来る事、など
から、拉致・殺害の対象として娘を選定したと考える。
 
6=屍体埋没
 
2日2時〜4時。
周知の如く屍体にはあのような念の逝ったイタヅラ(工作)をして
あった。荒縄、細引き、手枷足枷、目隠し、玉石、等々。その意味
合いについてはおくとして(実は小生はこのジャンルでの推察が不
得手。どなたか御教示を)そのように複雑な仕掛けを屍体に施した
事実も、殺害が初めからの予定行動であったと思う理由の1つ。
埋没位置については、既に多く語られているように、ここは被差別
部落にも程近く、捜査をその方面に向けようとの意図と見られる。
 
*佐野屋の日程を丸1日あけた時点とした事の疑問について。
 >事件の動機が、利権獲得と共にN家への強い怨恨を含む報復だ
  ったと仮定して、最大のポイントは佐野屋への出現と逃走をど
  う解釈するか、という所ですね。
  そもそも、営利誘拐に見せかけることが目的ならば、できるだ
  け脅迫から早い時刻が望ましいはず。それをなぜ丸一日以上も
  空けたのか。捜査当局に時間的余裕を与えてしまっては、この
  計画の成就がより困難になるのではないかと思いますが、この
  辺をどう解釈するかが重要ですね。

これは屍体埋没をあのように計画すると、必然的に佐野屋は3日午
前0時になったのではないかと考えている。1日夕刻に殺害し、そ
の夜中に埋没とすると、あとは佐野屋へ行ける日時はその翌日とい
う事にどうしてもなる。
またその事よりも更に蓋然性のありそうな事としては、犯人像を、
「警察の情報を把握する事の可能な者」とすると、その捜査情報を
得る為に、丸1日程度の時間が必要であったのだろうと思う。その
日のうちに佐野屋を、となると、付近での張り込み情報を得るのが
時間的に困難で、翌2日の間に、じっくりと情報を検討したものと
思われる。この情報の中には、張り込み位置はもとより、警察犬の
有無など比較的細部の情報も含まれていたのであろう。
 
実行そのものは、佐野屋班と埋没班に分け、一方で佐野屋へ出向き
他方では埋没を実施することも可能ではあらうけども、多分それを
可能とする人員が確保出来なかったのだと思う。一般的に考えて、
このように組織的な複数犯であったとしても、実行犯の人員は出来
るだけ少人数としたいものなのではないか、と思う。
 また、佐野屋を2日0時にして、屍体埋没の方をその後とする事
も全くの不可能事では無いと思うが、下記の理由から、やや困難が
あるのではないか、と思っている。
よって、上記時間的人員的条件と、情報確保の観点から、佐野屋の
日程を3日0時としたのであらう。
 
*屍体埋没=殺害は佐野屋の後であったという説について。
 >「誘拐→殺害→佐野屋逃走」
  という順序ではなく、
  「誘拐→佐野屋逃走→殺害」
  である可能性は?(殺害日時3日以降)

殺害が佐野屋の後という説を取る場合に、屍体埋没の観点からはど
うだろう。
屍体が語るところでは、被害者は死後最低3時間は仰向けの姿勢を
保持していたと見られる(上田鑑定では死斑が生ずるためには死後
3時間乃至4時間死体が一定の姿勢を保つことが必要、五十嵐鑑定
は4時間乃至6時間以上の時間の経過が必要、となっている)。
 
死斑について(追記)=更に、一度生じた死斑が、その後の体位の
変化によっても消失せずに残るには、通常8時間程度の間死体が一
定の姿勢を保つ必要がある
(参照→法医学的考察1)。
 
誘拐→佐野屋逃走→殺害という説を取る場合、屍体埋没は常識的に
考えて3日未明または3日夜から4日未明にかけてと考えて良い。
しかし上記死斑の事実に鑑みると、3日午前0時ごろに佐野屋での
立ち回りがあり、その後すぐに殺害を実施したとしても、屍体埋没
は殺害時から最低8時間後ということになり、3日未明での埋没は
時間的に全く不可能と見て良い。
(日の出時刻は5月1日で4時49分、とすると4時半ごろには薄
明るくななるのでその前には埋没終了の要がある。犯行を最短時間
で実施したと考えても、佐野屋逃走後監禁場所に帰着0時半、すぐ
に殺害したとしても、3日未明のうちに埋めたのでは、後で背中の
死斑は残らない事になるから)

 
従って、この場合の埋没時刻は3日の夜間から4日の未明というこ
とになると思うが、3日朝からは佐野屋での犯人取り逃がしを受け
ての山狩り開始、4日午前10時屍体発見。
 
山狩りは昼間行なわれるにしても、いづれにしろ佐野屋のあとでは
警察はもとより近隣の人々の状態を考えると、埋没自体が可也危険
なことになると思われる。
 
7=犯人像 
 
これは前述の事に、今宵のところは追加事項は無い。
 
8=本件に於ける被害者家族のあり方
 
本件被害者家族の事件後に於ける言動は(姉の自殺を含めて)どう
見ても常軌を逸したものがある。その事が、長兄を初めとする一家
への疑惑の元となっている。通常、事件への被害者家族の感情は、
犯人への憎しみ或いは謝罪と贖罪をして欲しいとの思いと、事件の
真相を求める気持ちとして顕われるものである。本件被害者一家に
於いては、そうした事が余りにも希薄なように感じられるのであっ
た。
 
長兄の手記は一部、妹への追悼文にもなっている。
しかしどちらかと言うと内容は、犯人への語りかけであり、それも
逮捕された石川氏が実は犯人では無い事を知っており、真犯人への
呼びかけとも見られるものがある。他方で長兄が、裁判に於いて偽
証にも近い証言であったのは周知の事実。
 
また父親はこれまた周知の事として、長兄とは対照的に発言が少な
い。
父親はまがりなりにも「脅迫状」に於ける宛先であり、一家の当主
である。ここには、多くを語れないというこの父親の心境が顕われ
ているように思える。
こうした事から、もし長兄など一家の誰かが犯人でないのなら、
「娘(妹)の生命よりも、家庭機密の保持の方を優先している」と
いう感じがするのであった。
 
再び空想的な言説としてお読みいただきたいが、
 『娘を殺された悲しみが希薄な感がする=娘の事は生前から一家
  の大問題であった。
  その理由は、娘の実の父親が、同和地区出身者であったのだ。
  そんな出自を持った娘であっても、生前はそれなりの家族愛も
  あったが、殺されてしまった今となっては、不謹慎だがむしろ
  ホッとした気もする。
 
  事件後の家族の言動が変だ=娘に関するそういう秘密を犯人は
  知っているのだ。娘を殺し、一家の盛運を妨げた犯人は憎いが
  それ以上に、この秘密を世間にばらまかれては堪らない。ここ
  は悔しくとも、結果的に犯人を利する事になろうとも、言を左
  右してこの秘密だけは保持しなければならないのだ。』
 *本件は被差別部落への見込み捜査を早い段階から行い、石川一雄氏を強
  引に犯人に仕立て上げた事件として有名だが、そもそもの動機や、事件
  そのものの背景の中に、この様な差別意識があったように思われてなら
  ない。

現実がこれかどうかは別として、いづれにせよ一家にある守りたい
機密があって、それを犯人側に握られており、事件当初からその事
で心理的制約を受けていた。

仮定についての但し書き

 *推理に於ける仮定(仮説)の問題
 
 「被害者一家に家庭的機密事項があった」「被害者の出生に秘密
があった」等は、単なる仮定の話であって、実は全く何の根拠も無
い。根拠が無い話ははっきり言えば「つくり話」と言っても良いの
である。ここでの根拠と言う意味は厳密なもので、むしろ「証拠」
とでも言うほうが適切かも知れない。
 
 このあたりに「推理」と言う行為の困難さがある。100%確実
な事実だけを材料とするならば、言い換えれば全ての仮定と言うも
のを排除するならば、推理と言う行為自体が成り立たない。「もし
何々であったなら」「こう考えると辻褄が合う」と言うものが仮定
と言う事であるが、事件の真相を推理したある説が有名になると、
仮定を「事実」と取り違える者、仮定の根拠を掲示板その他で尋ね
る者が現れる。説や仮定の話が独り歩きして来ると、こうなる。
 
 これと似たような話では「被害者は生前から性交渉の経験があっ
た」「被害者は殺害される前にトマトとおにぎりを食べた」と言う
ものがある。その「根拠」は遺体解剖時の法医学鑑定にあるらしい
が、自分できちんと法医学を学習してみるなり、専門家に聞いてみ
るなりと言う行為をせずにいると、こうなる(それらの事について
は当サイトの法医学関係頁に詳細を記してある)。
 
 法医学的事実の方はまさしく「証拠」と言って良く、こちらは推
理の対象ですらなく、客観的事実であって、これらの事実から更に
どのような事実が推定されるかは、仮定や仮説が入る余地の全く無
い科学的考察の世界となる。故に、当サイトでも法医学問題は推理
編ではなく、「一般的考察」の部類に入れてある。
 
 このように、仮定や仮説の類いが独り歩きをすると、特にネット
上などではこれらを、既に一般的に認められた事実と取り違え、更
にそれを前提としての珍推理に陥る者が、過去の経験でも見受けら
れたが、元々、推理に於ける仮定と言うものは上記のように、悪く
言えば「つくり話」のようなものなので、注意が必要だ。

 少なくとも、ひとつの仮定の上に更に仮定を積み上げて行くようになると、真相に迫ろうとして推理しているのにも関わらず、次第に話が荒唐無稽に陥って行くものだ。
 
 以上、賢明な読者には今さら言う迄も無い項目であるが、広い世
の中にはそうでも無い者も大勢居るらしいので、当説に限らず、念
の為、但し書きをしておく事にする。

以降、各項への補遺があったら記したい。また当説の弱点について
も、自ら記してみたい論点もある。及び当説を考えていて推察した
ところの、全くの異説についても、機会があったら展開して見よう
と思う。(展開しました→怨恨説
◆長兄説◆
◆黒幕説◆
◆屍体埋没◆
◆怨恨説◆
黒幕説補稿
異説 紛々
◇狂言誘拐説◇
長兄の手記
電話の証言
法医考察1
法医考察2
法医考察3
法医問題の決着
基礎事実の検討1
基礎事実の検討2
現地調査写真
現地調査写真2
2004年実況見分
実況見分考察
2005年現地見分
2006年現地見分
2007年現地見分
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