狭山事件関連書籍

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主な狭山事件関連書籍の紹介と寸評

 狭山事件に関する本は今までに結構出版されています。絶版になっているものも多いですが、古書市場ではやはり結構流通しており、可成の本は比較的容易に入手可能です。その全てを紹介する事は出来ませんが、この頁では主なところを著者別に取り上げて見ます。

お薦め度:が多いほどお薦めです。勿論主観に基づきます。

*野間宏*
 狭山裁判(1976年)
 ☆☆☆☆
 上下巻に別れておりハードカバー及び新書判もある様です。相沢健一氏へのインタビュー、被害者の法医解剖、変死者の問題(OG及び被害者の姉)など、現在でも一読しておいて損はないでしょう。他にも、死体発見現場近くで発見されたスコップがほぼ事件に無関係なものである事(おそらくは警察関係か真犯人の偽装である事を示唆)を鑑定結果も参照しながら科学的に推論した章なども一読に値するでしょう。全ての原稿を掲載した「完本」もありますが、価格は安くても3万円。ちょっと高価です。
 被害者が「腹違い」だったと言う話も載っていますが、これは公判廷でのやり取りをあっさりとそのまま掲載しているだけで、著者自身の判断は無く、これだけで腹違いだとか種違いだとかの根拠とするわけにはゆきません。

*亀井トム*
 狭山事件に関しては精力的に執筆を続けた第一人者と言えるでしょう。真犯人推理を始めた最初の著者とも言えます。事件全体を包括的に考察した著作はありませんが、様々な切り口からの考察があり、特殊なディテールを知るためには是非読んでおきたい著作群となっています。但し現在では飛躍していると考えられる推理や、明確に「それは違う」と言い切れる記述も多く、その点はあらかじめ割り引いて読む必要があります。犯人像については初期から可成り明確に、長兄+IT+OGと言う方針を取っていました。石川さんが部落差別に基づく冤罪被害者だと言う立場を取りつつも、真犯人の中に当時の被差別部落の人物=ITを想定する事も辞さない点や、思想信条を異にする荻原祐介氏とも交友があった点などは、姿勢的には支援団体である部落解放同盟とはある一線を画していたようです。
 歯に衣を着せぬ筆致は好き嫌いはともかく、亀井著作の特徴で、現在ではこういった本は出版する事自体が困難でしょう。そんな意味からも、まだ古書で流通しており比較的容易に手に入るうちに読んで見るべきかも知れません。
 是非は別として、もしも亀井さんが現在のネット社会に存命であったら、おそらくはネット上で縦横無尽の論考を展開して大活躍&大問題を引き起こしていた事でしょう。

 狭山事件(1972年)
 狭山事件・第二集(1974年)
 ☆☆☆☆☆
 寺尾判決(二審)が出る前の段階の著作集。おそらく本としてまとまったものとしては最初の著作だと思います。ここで既に「動機は財産絡み、近親者による血縁犯罪」との亀井著作の最後まで続く犯人像、犯行像が提示されています。死体遺棄の方式に伴う「両墓制」との絡みも詳しく記述されています。

 狭山事件権力犯罪の構造(1975年)
 ☆☆☆☆
 寺尾判決後の力作。巻頭の年表はなかなか便利で、私も当サイトを作るのに参照させていただきました。例によっていろんな思いつきの集合体みたいな本ですが、所謂奥富栄調書について結構突っ込んだ考察があるのがこの本の見所です。

 狭山事件 権力犯人と真犯人(1977年)
 ☆☆☆☆☆
 冒頭部分に石川さんを一審当時から支援し補佐人でもあった荻原祐介氏の文面が掲載されています。これには、被害者宅の母親の言行だとか婚礼の翌朝に卒塔婆や墓石が庭に投げ込まれていたと言う話や、被害者の生前の異性関係などが記されており、事件の背景としてそういった面を想定する際の根拠となっていますが、その信憑性についての亀井自身の言及は特になされていません。

 狭山事件への告発状(1978年)
 ☆☆☆☆☆
 初期から目の敵にして来た長兄、及び上田県警本部長らを、ついに偽証罪その他で告発してしまいました。その是非は別としても、亀井の執念を感じさせる作品です。

 狭山事件 無罪の新事実(1977年)
 ☆☆☆☆
 この本の最大の読み処は勿論「事件当日午後6時半頃、上田県警本部長が誘拐事件の発生を所沢署に知らせに来た」と言う元所沢署長・細田行義氏への取材です。他、佐野屋張り込み当日の午後8時になって県警幹部が狭山署に乗り込み、犯人が徒歩で出現する事も想定してあった張り込み計画を覆してしまったと言うエピソードも紹介されています。手に入るなら是非読んで見るべき本です。
 但し後半に入ると「佐野屋に現れたのは警察による官製犯人だった」と言う、所謂佐野屋自作自演説(劇団警察とも言われます)に全てを強引に膨らませて解釈するのが目立ち、とうとうここまで飛躍を遂げたか、と言う感想でした。
 1980年には続編も出版されていますが、方向性としては同じです。続編には、被害者の遺体発見者が不思議な事に二人いて供述も食い違うと言う記事もありますが、供述が微妙に食い違ったりするのはあり得る事で、私自身としては取り立てて「新事実」のように言う必要もあるまい、と言う感想でした。
 被害者宅次兄が「1日に家の前でも張り込んでいましたね」と言ったのも「家の前で1日に犯人を取り逃がしていた」と拡大解釈されていてちょっと同意しかねます。

*高杉晋吾*
 部落差別と冤罪ー狭山事件の背景(1977年)
 ☆☆☆☆☆
 この本は事件そのものについての記述よりも、背景としての部落差別を取り上げていますが、特に被害者宅がある堀兼地区の歴史や、戦後期の被害者宅を取り巻く状況などが他書に無い記事として挙げられるでしょう。そのあたりも知りたいと言う読者には薦められると思います。

*甲斐仁志*
 狭山事件を推理する―Vの悲劇(1988年)
 ☆☆☆☆☆
 そのものズバリの題名は発売当時相当なインパクトがあり、当サイトも同じ名前を名乗らせていただいているほどです。題名で得をしている本。が狭山事件全体を包括的に推理した本としてはなかなか愁眉です。特に脅迫状の分析はなかなか読ませるものがあります。犯人は具体的には述べられていませんが、被害者と男女関係があった中年男性とされ、動機はその関係の清算となっています。長兄や姉の婚約者ではありません。現在ではこの本に書かれている個々の推理は疑問点も多く、そのあたりは可成り割り引いて読む必要はありますが、事件全体を見て推理すべき要素を分類して各章に割り当てているので、この本の記述自体を参考にすると言う事よりも、事件の要素を概括的に見て自分自身の論点を整理する際に補助的に使うのには良いと思います。

*殿岡駿星*
 犯人ー狭山事件より(1990年)
 狭山事件の真犯人 (2005年)
 ☆☆☆☆
 著者は元朝日新聞記者、1968年浦和支局に勤務中より狭山事件を取材し、その結果を基に執筆された本です。長兄単独犯説を考察した本として有名です。「犯人」絶版後、新たに書き下ろしたのが「真犯人」のほうですが、前者のほうが頁数は多く、しかし後者にはあらたに加筆された部分もあります。
 私自身は現在は長兄説ではないのですが、「犯人」を読んだ時には暫くの間完全に洗脳されたほど、強烈なインパクトがあって思い出の本です。
 殿岡さんは現在も継続して狭山事件の考察をされており、今後とも健康に気をつけて是非調査を進めて行かれるよう希望しております。

*鎌田 慧*
 狭山事件 石川一雄四十一年目の真実(2005年)
 ☆☆☆☆
 石川さん自身に直接取材して、どのようにして自白に追い込まれたのか、その経過と背景を追った本です。所謂推理本と言ったものではありませんが、亀井本以来あまり語られる事のなかった荻原祐介氏のひととなり、著者が被害者宅長兄を直接訪問した時の様子なども書かれています。事件当時の関係箇所の地図もついているので、現地調査をする際にも結構便利です。

*下田雄一郎*
 史上最大のミステリーを推理せよ!狭山事件(2006年)
 ☆☆☆☆
 既に狭山事件について可成り知っている読者には過去の著作と重複する部分もありますが、真相を推理した各説が記載されていたり、独自取材で得たと思われる記述も多く、購入して損は無いと思います。
 下田さんとは一時期私も連絡を取っていた事もあったのですが、現在は連絡先不明となってしまったのは残念です。せっかく鎌田慧さんの解説もいただいたのですから是非復帰されて、いずれ共同で活動をしたいものです。

*解放出版社*
 知っていますか?狭山事件一問一答(2006年)
 ☆☆☆☆☆
 2006年の第三次再審請求(現在継続中)で取り上げられている新証拠についても記述されています。入門書のような体裁ですが、結構知らなかった事なども書いてありました。科学的鑑定の類は初めからそれ自体を読むのは難解できつい事もあるので、こういう本で概略だけ当たりをつけて、更に詳しく知りたくなったらネットで検索して専門的に突っ込んで見る、と言う方法を取ると良いでしょう。

 無実の獄25年ー狭山事件写真集(1988年)
 ☆☆☆☆
 事件当時の写真が掲載されており資料として持っておきたい本ですが、残念ながら古書市場でも入手困難な様子です。オークションなどをこまめに覗いていれば、そのうちに出物があるかも知れません。

ー番外編ー
*見沢知廉*
 囚人狂時代(1998年)
 ☆☆☆☆☆
 著者が服役していた時の刑務所での惨いエピソードが満ちた獄中体験記。同じ刑務所に服役させられていた石川さんとのエピソードもあるのでここに掲載した。彼の著作には刑務所の人権無視を嘆いているような文面が多いのだが、「君は所謂模範囚でも無かったし、石川さんと違って本当に人を殺めたのだから仕方が無かろう」と言う感想もあったのは確か。が、まあこのあたりは実際に入った人でなければ理解の出来ぬ事実もあったのだろう。
 実は見沢(高橋哲央)は筆者(私)の友人(出所してから)であった。余り飲める男ではなかったが宴席を共にしたり、義理場で会ったり、少しだけだが仕事を頼まれたりしていたが、2005年に自殺してしまった。意味不明なメールや悪筆のハガキには悩まされたものであった。自殺した動機は不明だが、狭山事件の現地見分にでも早く誘っておれば、もしかしたらああいう事にはならなかったかも知れないと思って少し悔やまれる。合掌。

◆長兄説◆
◆黒幕説◆
◆屍体埋没◆
◆怨恨説◆
黒幕説補稿
異説 紛々
◇狂言誘拐説◇
長兄の手記
電話の証言
法医考察1
法医考察2
法医考察3
法医問題の決着
基礎事実の検討1
基礎事実の検討2
現地調査写真
現地調査写真2
2004年実況見分
実況見分考察
2005年現地見分
2006年現地見分
2007年現地見分
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